ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  厚手コピー誌製本簡易マニュアルver0.01R2 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

CopyRight MIYAMA. 2011 R2 2025作成 ※ドキュメントのリンク不具合修正 ※メールアドレスおよびホームページ情報の修正 kazutomimiyama.sakura.ne.jp  はじめに  このマニュアルは、小部数でしかしページ数が多めの、 ホチキス・ステープラーとじでは対応しきれない  コピー誌やパンフレットを作成するための覚え書きで す  使用配布はフリーですが、著作権は私miyama.が保持 しています ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  ここでは、例としてA5版冊子の作成方法を紹介いたし ます  ここでは一般の雑誌、あるいは洋書左開きを想定して 解説していますが  右開きの書籍を作成する場合は、概念を左右入れ替え て作成してください  用意するもの  =面付け編=  セロテープ  カッター  金属製の定規と、傷ついてもよい大き目の板  テキスト文書を出力する場合はパソコンとプリンタ  大部数、多ページの場合は専用のカッティング板 :後述  =製本編=  ジャム、ビール瓶などのなどの大きくガラスの厚い空 瓶 (コミックス様ペーパーバックとして、)A5厚口表紙用 ボール紙一部につき二枚  大きな角材の切れ端か、ゴムの小槌:百円ショップに あります  大き目のじゃのめクリップ2ケ  ハンディ十徳ドライバセット:百円ショップ品可  たこ糸か丈夫なボタン付け糸、あるいは釣り糸  おおきめのヘアピン一本  製本編、あればいいもの  カラー布ガムテープ  大き目の化粧紙  1 面付け作成  ここではテキスト文書をPCから出力するところから解 説します  以下の例のの二ページ分面つけを想定します  専用の面つけあついは版下ソフトが無い場合を想定し てベタのテキストファイルを出力するところから解説し ます  プリンタドライバがインストールされているPC上でメ モ帳から印刷メニューを呼び出し、印刷の設定をします  設定が可能であれば  A5用紙選択  縦方向印刷 を選択します  ページ設定はこの例の左一ページ目の設定を使用し、 とじしろ分の余白を考慮し、左側の余白を若干多めにし ます  ページ数ノンブルは、プリンタ上の設定で、  ヘッダ、フッタの機能として設定可能です  ここでは、 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  ヘッダ 空白  フッタ 「左端から欲しい半角スペース分」 足すことのページ制御コマンド「&L&P」で設定可能です ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  このページ制御コマンドは、左寄せ、ページ数印字に なります  かならず、最初のページなどでためし印刷をしてくだ さい  問題が無ければこの設定で全ページ一括印刷します  この例では左右余白が異なる右2ページ目も同様書式 で印刷されますがそれは面付け時に物理的に補正します  あらかじめ幅を目安にした金属製の定規をあてがい、 カッターで一枚ずつ右ページ分のプリントアウトをその 左端をきりはなしていきます  これを左ページ分の原稿にテープで接合していきます  よほど繊細な画面の原稿で無い限り、結構大胆に貼り 付けてしまってかまいません  A5面二枚でA4一枚分のコピー原稿が出来上がります  ただし、むかって右側のはばが足りなくなりますが、 これはコピーに掛けるときに、  左端を基準に装置のガラス面に掛ければかまいません  この要領で、左側を奇数ページ、右側を偶数にする設 定で、すべてのA4半分のコピー原稿を作成します  対応した版下機能あるワープロソフトがある場合、PC 上の操作ですべて行ってしまってもかまいません  原稿が作成できましたら、コピー機で必要な枚数分コ ピーします  2 コピーされた用紙の製本  製本用のコピー出力が出来上がりましたら、和本製本 の要領で各ページを中折します  最初から一枚ずつおるよりも5枚か10枚程度あつくま とめて空折りをして癖をつけてから折るとおり易いです  このとき瓶の底で、すこし神経質になるぐらい紙に折 り癖をつけていきます  一枚一枚はたいしたことはないように見えても、中折 れ紙が集まると、  折りが甘い場合、束がアコーディオンのようになって それ以降の作業がしにくくなります  各部ごとに、ページの順序を間違えないように束ねて いきます  ひもがけ製本を行ってしまうと、間違えた場合糸を切 らねばなりませんので、ページをくんだ後も確認をして ください  この時点でも、上から瓶の底でしごいて、折り癖をつ けてください  ページをくみ終えたら、糸製本工程に入ります  仕上がりを考えて、折り紙のむきをそろえます  中折れの側を基準にし、そろえます  ページ数が少ない場合はそんなに神経質になることは ありませんがページ数が多くなってくると紙同士の摩擦 によってなかなか角がそろいません  空気を含ませるようにしながら、角材かゴムの小槌で かるくくりかえしたたくようにならしていきます  中折れ側が完了しましたら、今度はページ底方向へむ かってそろえます  無事そろえ終わりましたら、丈夫なクリップでずれな いように固定します  ペーパーバック扱いで、厚紙の表紙をこの時点でつけ る場合はこのときに一緒に糸かがりを行ってもかまいま せん  紙に止めあとがつくのが嫌な場合は、別途養生用の捨 て紙をあてがってください  和本糸とじ製本の場合、糸かがりは5穴製と4穴製の 二通りがあります  ふつう、4穴製で充分のようで、大抵の和書は4穴製 本です  ここでは、練習を兼ねて、5穴製本を解説します  まずめやすとなるしるしを束の小口がわに本の裏表両 面に記します  寸法は特に決まりはありませんが、背から10ミリから 15ミリ程度で充分でしょう  部数が多い場合は、ダンボールなどで穴の下穴の型紙 を作ると便利です  なお、本の厚さがあつくなると、糸の太さよりも相当 大きな下穴が必要になります  また厚い場合は一度に下穴をあけてしまうと、厚みの 途中で穴の芯がかなりずれます  そのような場合は束を、3,4分割して下穴をあけて ください  しるしをつけたら、下穴をあけます  百円ショップの十徳ドライバセットが重宝です  まず錐ドライバで細穴をあけて、次に中字、太字のド ライバで穴を拡張します  本が厚くなるにしたがって、びっくりするほどの大き な下穴でないと、とじ糸がスムースに通りません  穴をあけおわったら、糸とじに入ります  糸とじの心得は、まずゆるく仮通しをしてから、あと から締め上げていきます  大型圧力釜などの気密容器もそうですが、全体のバラ ンスを確認しないまま、むりに最初から締め上げると、 あと工程がうまくすすまなくなります  なお、厚手の本になりますと糸に相当力がかかります ので、ボタン付けの綿の糸などでは、途中で切れてしま うことがあります  皮革工芸用のハブ糸などは理想ですが、あまり高価な 糸を使う場合は値段的に張り合わない恐れもあります  なお、糸とおしには縫い針は不向きです  本が厚くなると、穴のなかに糸が密に通りますのでと がった針では糸が別の糸の腹をさしとおってしまい、仮 通しから締め上げるときに引っ掛かってしまうことがあ ります  また、糸通しは結構強い力がかかることがあり、縫い 針ではしばしば危険です  ここではおおきめのヘアピンを使用します  本の馬鹿穴にまずヘアピンの折れ尻をさしこみ、むこ うからくくり糸をその尻穴に通します  とおりましたら、ひをとめて三分冷まします 誤  とおりましたら、ピンをそのまま通し糸といっしょに 引き上げます 正  これを繰り返し、糸を手繰っていきます  次に糸の穴通しの順番について解説します   5穴製のばあい、本の上から二つ目の穴から糸を通し ます  裏表どちらからはじめてもかまいませんが、仕上がり を考えて表紙ではないほうから糸を差し入れたほうがよ いでしょう  まず二つ目の穴から糸を通し、互い違いに本の底のほ うへと糸を通していきます  糸が最後の穴を通過したら、本の底を廻って、おなじ 最後の穴にふたたび糸を通します  通った糸を今度は、本の背側で一回転させ、またおな じ穴を通します  今度は逆方向へ糸を互い違いにさせとおしながら、そ の都度本の背側で一回転ずつかしめていきます  始点の穴に到達しても、一回転かしめを続行します  糸が始点の穴よりも上にむかうようになったら、こん どはかしめなしの単純通しに復帰します  本の天辺も、本の底と同様、糸をまわしてからおなじ 穴に再度糸を通します  おなじ穴を通ったあとは、普通に背の一回転かしめを します  もういちど糸が始点に復帰したとき、糸を始点に通し たあとに糸の末端で糸を始末する工程に入ります  糸を始末結びするまえに、充分糸の遊びをくくりあげ てから縛ってください  糸の最後の縛りは、あまり強く引き結ぶ必要はありま せん  これで糸かがりの工程は終了です  なお、5穴ではなく4穴製本の場合は、最初の穴が2 番目ではなく、一番目になるだけで、途中の工程は全く 一緒です  ただし、この場合は、糸が天にもどる回し始末は、単 純に一回糸を通して終わりです ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  付記 ・糸養生  糸が何かに引っ掛かって切れるのが嫌な場合は、養生 処理をおこないます  単純に上からテープを張ってもよいのですが、クリヤ やクラフトテープだと本を開くたびにかさかさ音がして 気になる場合があります  染みになるほど糊の濃くない布テープがよいでしょう 最近では、ホームセンターなどにカラフルな製品が売ら れています ・ブックカバー  また、綺麗な包み紙などでブックカバーをつけること も可能ですが、この場合は本のがわに比較的丈夫な表紙 があることが前提になります  製本時に表紙をつけていない場合は、接着でもだいじ ょうぶです  ペーパーバック、あるいはおおきめの雑誌にカバーを 掛ける方法は、書店の仕事ではおなじみのものです  まず、該当する書籍の大きさよりも大きな紙を用意し ます  A5版ならば裏表あわせてA4ぶんの紙が理屈では必要で すが  とじしろの分が必要なので、B4よりもより大きな紙を 用意します  その紙を書籍の高さよりも幾分余裕を持ってまちを折 り返し、  そのあと、書籍に背側からあてがい、これも幾分余裕 を持って小口側におりくせをつけます  できた化粧紙カバーを、今度は書籍のペーパーバック 側の表紙をおおきくそりかえし (この絵へただ<うるさいわね)、紙のレールを差し込 むようにカバーを装着します ・原稿、コピーした用紙整頓の工夫  この項目の前のほうでPC印刷の都合上、  2ページ目を1ページの書式にあわせるため、カッテ ィングする事をかきましたが、このような作業をたびた びするためには、専用の作業器をつくると便利です  おおげさなものではなく、A3の紙が収まるほどのベニ ヤと、それに差し渡すほどの角材が一本あれば足ります  A3のサイズ 横42.0センチ        縦29.7センチ  ただし、横の長さは角材の幅をふくんだ大きさが必要 なので、ホームセンターなどで注文する場合は 35掛け50センチ程度である必要があります  くぎか木ねじで角材を背面から固定してください  この台に、未加工のコピーされた用紙をそろえて置き、 大きさ別にそろえられた型紙の板をおけば、その板とお なじ大きさに用紙を切り分けることができます  このやり方であれば冒頭の、 「二ページ目を一ページ側のスタイルに合わせて切る」 ことが早く正確にできるようになります」  また、よく学校の印刷室にあるペーパーカッティング 器は、厚い紙の束を切るとひどいときは5ミリのオーダ ーで紙がずれてしまいますので、このような台において カッターで数枚程度ごとに切り分けていくほうが正確で す  なお、カッターのガイドになる型紙板は、長く使うの であればできるだけ堅牢な材質のものが望ましいです  セルロイドやMDF再生ボードは、使ううちにすりへっ てきます安価なものであれば、文房具の硬質塩ビレター ケースを、硬い接着背側をカッター口にして使用すると よいかもしれません    なお、なぜこの台が大きいほうがよいかというと、大 部数、多ページのばあい、印刷コピー代を節約するため にA3コピーが使用できるからです  たいていの印刷サービスやコンビニでは、2011年現在、 A3コピーも一枚約10円程度です  あとで切り分ける手間を惜しまなければ、コピー代が 半額ですみます  この場合は、現行の面付けは冒頭のA4ではなく倍のA3 になります  ページは2ページから4ページになります  実際の業者では、これをさらに2倍して、A2にして、 さらに裏表印刷にして4倍の16ページにしています  漫画の原稿などが16、32ページ単位でおさめられ るのは、この折込み製本システムによるものなのです  余談  ふつう、紙を製本のためにそろえて整頓する都合上、 慣例では本の底のほうを用紙の天然基準線として残しま すので、普通は図のような面付けになります  ここから実際にA4を切り出す際には、切り型台板が正 確な寸法になっているか、2、3の紙で試し切りしてか ら行うようにしてください  最後に、規格としての紙の寸法を記しておきます :出典,WIKIPEDEIA      単位 センチ  A3 29.7 * 42.0  A4 21.0 * 29.7  A5 14.8 * 21.0  A6 10.5 * 12.8  B3 36.4 * 51.5  B4 25.7 * 36.4  B5 18.2 * 25.7   B6 12.8 * 18.2  あと、くれぐれも紙で指先を怪我しないように気 をつけて作業をおこなってください  あとがき  これは、まあもちろん同人誌出版の便宜のために まとめた便宜帳です  まえから想っていたのですが、大抵のサークルに とっては、そうそう部数が販売で出るわけでもない のに、  業者の印刷の最低単位が事実上100部なので、 なかなか手軽に本を作れないジレンマがあるなと想 っていたのです  これはかならずしも金額の問題ではありません、 はけない在庫と共に一緒におなじ部屋で寝ることこ そ、こんなにつらいことはありません (うんうん、といううなずきがたぶん、何万人 <泣)  無理にオフセットにしないで、売れる分だけつく れればいいのでは、とおもってこのノウハウを覚書 きにまとめた次第です  気軽に本を出せるようになれば、暫定的に出した 気の染まない作品もその改版のたびごとに手を入れ るようなことができるのではないでしょうか  お役に立てれば幸いです  kazu ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  アーカイブの作成者注  このドキュメントは、希島さんの原案とイラスト にもとずいてmiyama.がハイパーテキスト化したも のです  画像が表示されないなどのテクニカルなサポート はわたくしmiyama.におくって結構ですが  内容の質問に関しては希島さんへ質問したほうが 早いと思います  希島さんのホームページ kijima.htm  なお、このアーカイブの著作権に関しましてはわ たくしmiyama.が保持します ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー